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いわゆる推進派の「都構想の説明」は「間違って」いると思います(区と特別区は全く違います)

今、あれこれとHPを見ていて、「あれっ、これは深刻な問題ではないか…?」と思い至った事がありましたので、まず、本FB上でメッセージ配信します。

「都構想」を推進するある公党HPのトップには、次のように書かれています。

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もう一度わかりやすく。大阪都構想とは。
「大阪市の24区を再編し、5つの特別区を設置し、大阪府と大阪市の広域行政を統合すること。それが大阪都構想です。」
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http://oneosaka.jp/tokoso/q-and-a1.html

多くの方は、この説明を見て、なるほど、そういものかーーとお感じになるかもしれませんが、この説明は「間違った説明」だと、筆者は考えます。むしろ、一般の方々の「無知」に便乗した、悪質な情報操作でだと言われかねないものであるように思えます。

少々難しいかも知れませんが、極めて大切なことですので、じっくりと下記、ご確認ください。

まず、大阪市の今の「区」と、都構想後にできあがる「特別区」とは、同じ「区」という言葉が使われていますが、まったく違うものです。

少々大げさに言えば、「雲」と「蜘蛛」は、おなじ「クモ」でも、全然違うものですが、それと同様です。

もう少し、具体的に解説しましょう。

そもそも今の大阪の「区」は、行政区といって、大阪市の自治体の事務をやるにあたっての、エリアを意味します。一丁目とか二丁目、とかいうものの位置づけです。それは「自治体」ではありません。

一方で「特別区」というのは、独自の首長や議会をもつ「自治体」なのです。それは、「大阪市」と同じ存在で、一丁目や二丁目といった区分とは、まったく次元が異なるものです。

特別区や大阪市というものが、「会社」だとしたら、
行政区や○丁目というものは、「出先事務所」だと考えるといいでしょう。

例えば、次の「国鉄の分割民営化」の話を考えてください。

「国鉄は分社化されて、JR西、JR東、JR東海。。。。等ができあがりました。一方、国鉄時代、各地域の事業を行うために、東北○○事務所だとか、甲信越○○事務所だとかがあった。」

「国鉄」や「JR」というのは会社ですから、上の話でいえば「大阪市」「特別区」というものに対応し、「○○事務所」というのは、今の大阪の区(「行政区」)や「丁目」等に対応します(←この点、この話の肝ですから、しっかりとご理解ください)。

さて、この国鉄民営化話は、次のように説明できるでしょうか?

「国鉄にあった数十の事務所を再編し、6つのJRを設置します。それが国鉄民営化構想です!」

こりゃ、いくらなんでも、おかしいのではないでしょうか。

普通、言うべきなのは、「一つの国鉄を6つに分社化する」ってだけの話ですよね? そうでないと、「改革の本質」が「隠ぺい」されてしまいますよね!?

……

ということで、ご理解いただけましたでしょうか?

行政区と特別区というものが、たまたまどちらも「区」というから、話がややこしくなっているだけで、行政のことをよく知る我々からすれば、

「大阪市の24区を再編し、5つの特別区を設置(する)」

という言い回しは、ナンセンス極まりない、意味不明な言葉なのです。

ナンセンスではない正しいいい方は、

「大阪市を5つの特別区に分割する」

というものなのです(以前、この点、とある特別顧問な行政の専門家がこの「間違った説明」をしていたので指摘したのですが、視聴者にはほとんど伝わっていませんでしたね^^;)。

これは、意見の相違とかどうとかという次元の話ではなく、我々からすれば、当たり前のことなのです。

国鉄の6JRへの分社化が、国鉄分割民営化と言われているように、断じて、「数十の地方事務所の6つのJRへの統合」ではないのです。

にも拘わらず、都構想の推進派は、そのナンセンス極まりない解釈論を、都構想の説明のど真ん中に据えているのです。これは極めて悪質な情報操作であると言われたとしても致し方ないのではないでしょうか。

いずれにせよ、筆者のこの解説に賛同される方は、もしもこういう『間違った説明』を見聞きされれば、是非、ご指摘して差し上げてください