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「藤井は、臨財債を無視して大阪府の財政が悪化していると主張しているが、それは間違いだ」というデマにご注意を

~ 「臨財債を考慮していない藤井による大阪府財政悪化批判は間違いだ」というデマにご注意を!~

当方が、下記グラフのデータ

http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/…/t…/%E5%80%9F%E9%87%91.jpg

に基づいて、「橋下知事就任以降、借金の増加率が二倍以上になっている!橋下維新は、大阪の財政が悪化させたのです!」という「真実」を紹介したところ、一部の維新シンパの方から、「その借金の中には、臨時財政対策債が入っている。それを除けば、財政は悪化なんてしていない!」という反論があるようです。

しかし、そういう反論は、悪質な
「デマ」
です。おおよそ一般の方は「臨時財政対策債」なんていう専門用語を知りませんから、そういう反論は、素人を騙すために作られた悪質なデマである疑義が濃厚です。

ただし、これが「デマ」であることを理解するには、それなりの知識が必要です。ややこしいですが、説明したいと思います。ついては、「臨時財政対策債(臨財債)は差し引いて財政を論じなきゃダメだ!藤井の指摘は間違っている!」と思っている人は、下記の内容を理解してください。それは、人を「間違っている」と批判する上での最低限の「義務」です。

そしてもちろん、そういう藤井批判者と戦っている方で、彼らが単に「デマ」を言っているという事を理解したい方は、下記を是非、ご理解ください。

以下、ステップバイステップ、で説明します。

(ステップ1)自治体(都道府県や市町村)には(一部の例外を除けば)、国から「地方交付税」が配当されます。なお、その「地方交付税」の金額は、一定の基準があります。政府がその金額を、それぞれの自治体ごとに計算しています。
(ステップ2)ところが最近は、中央政府の財政が厳しいので、その「基準額」(正式名称は、基礎的財政需要額)を全額、自治体に支払えない、という情けない状況に至っています。
(ステップ3)そこで、中央政府は、地方交付税としてとりあえず払える分は払い、それでも「足りない分」については、「とりあえず、地方債を発行して調達しておいて頂戴」ということになっています。このとりあえず発行する地方債(借金)が、「臨時財政対策債」(略称、臨財債)です。
(ステップ4)臨財債はもちろん、「基準額」から「実際に支払う地方交付税」を差し引いた金額まで、発行することができます。それを「臨財債枠」と呼びましょう。
そうしますと、「臨財債枠=基準額―地方交付税」ということです。
(ステップ5)臨財債は、それを償還する時、その償還金はすべて「中央政府」が(地方自治体の「基準額」に上乗せし、地方交付税として)支払うことになっています。だから、この臨財債は、一見すると「自治体の借金じゃない」という風に見えるようになっています(←ここが、藤井批判者が指摘しているポイントです!)
(ステップ6)しかし!! 自治体は、臨財債を臨財債枠の全額まで発行する必要はありません(これを臨財債未発行枠、と呼びましょう)。
(ステップ7)そして、この「臨財債未発行枠」に関しても、実は後ほど(実際に臨財債を発行したかのようにして!)、中央政府から「償還金」が支給されるのです!つまり、中央政府は、自治体が臨財債を全く発行していないケースでも、自治体が臨財債を枠一杯に全て発行したケースでも、全く同じ金額を、自治体に支払うことになっているのです(!)。(←ここが、藤井批判者が隠ぺいしている、あるいは認識していないポイントです!)
(ステップ8)。。。ということは、臨財債を発行すればするほど、後程、政府から実質的にもらえるおカネが少なくなるのです。
(ステップ9)。。。。で、「借金」というものは詰まるところ、「将来の支払を減らして、現在の支払いを増やす」ものですから、臨財債は実質的に「借金」をしていることと全く同じことを意味しているのです!(繰り返しますが、臨財債は発行しなければ、発行しなかった分の償還金を将来、中央政府からもらえ、「将来における収入が増える」のに、発行してしまえば、その「将来における収入増分」が減ってしまうからです。これは、借金しているのと全く同じことになります)

(※ なお、中央政府が作ったこんなややこしい制度をつくった理由は、できるだけ自治体が借金をしないようにするようにしたかったからだと考えられます。地方交付税を全額配れば、自治体は無理して使うだろうけど、こういう臨財債の仕組みを作っておけば、将来使えるお金を増やすため、できるだけ無駄遣いを減らして、臨財債発行額を減らそう….とするようになるからです)

・・・以上いかがでしょうか?

かなりややこしい話ですが、結論として、

「臨財債もまた、純粋な借金です!」

ということであります(この結論が理解できないかたは是非、上記の(ステップ1)から(ステップ9)を一つ一つ丁寧に理解するようにしてください)。

最後にもう一つ、重要な点を指摘しておきます。それは、臨財債が増えるのは自治体の税収力(財政力指数と言います)が落ちたことが大きな理由になっているのです!税金の不足分が臨財債の増加に反映されますので、実は大阪府の臨財債が膨らんだ原因は大阪府政が地域経済の活性化に失敗してきたことが重要な原因となっているのです!!

(※ さらに、細かい点ですがもう一つ付け加えますと、中央政府が全国の「臨財債枠」の償還金の支払いを増やすと地方交付税全体が膨らむため、「臨財債枠」以外の地方交付税の部分(例えば福祉や教育への措置額など)が減らされる可能性が大きくなります!同じことは、「借金をしてハコモノをどんどんつくれ、あとは中央政府が地方交付税で面倒をみてやるから安心しろ」といって、その他の地方交付税分が大幅に削られた2000年代初めに経験済みです!つまり、大阪府のように、「財政力指数」が低下し臨財債を増やしていけばいくほど、将来の地方交付税のトータル金額が減っていく訳です。つまり、臨財債の発行は、将来の収入を減らすわけで、その意味においても、臨財債の発行は借金となっている、と言えます)

・・・・ということなので、やはり結局、大阪府は、橋下知事就任で、大阪の経済と財政が手と手を携えて悪化した、のです!皆さん是非、「臨財債」という言葉を使った「藤井の批判は的外れだ!」デマには、騙されないように、お気を付け下さい!

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