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新潮45:『「橋下維新」はもはや“圧力団体”である』のご紹介

今月の新潮45では、拙稿、

「橋下維新」はもはや“圧力団体”である / 藤井聡

を大きく取り上げて頂きました。
http://www.shinchosha.co.jp/shincho45/

下記に、そのさわりの部分だけ、ご紹介します。後半には、今回の「騒動」の顛末を解説差し上げております。

「日本の政治」「日本の自由社会」を守るためにも、是非、一人でも多くの方々に本誌に実際に、お目通しいただきますこと、心から祈念しております。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

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「橋下維新」はもはや圧力団体である

京都大学大学院 藤井聡

【大阪が陥っている「学習性無力感」】
今、大阪では、「言論の自由」が深刻な危機を迎えている。
この危機が放置されれば、それは「民主政治の危機」に直結し、最終的には「国民の安寧」の危機に繋がりかねない。まっとうな政治は自由な言論なくしてあり得ない。この自明の民主国家の前提が、今、大阪で失われつつある。
その問題とは、「大阪都構想」を巡る橋下大阪市長と彼を中心とした「維新の党」ならびに「大阪維新の会」による、公権力に基づく言論封じ、言論封殺の問題である。
この問題をはっきりと認識している人は未だ限られているが、実を言うと、大阪のメディア関係者をはじめとした「一部関係者」の間では「ごく当たり前のこと」として知られている。
例えば維新の党および大阪維新の会(以下維新と略称)の意にそぐわない発言がTV番組内で少しでもあれば、(百万人を越えるフォロアーがいる)ツイッター、そして、マスコミ各社が参加する記者会見の席上で、橋下大阪市長による激しい抗議、非難にさらされる。
その記者会見で、橋下市長の意にそぐわない質問が記者からあれば、その記者には激しい非難、罵倒が浴びせかけられる。マスコミ各社がいるその場は瞬く間に「公開リンチ」(これは実際に筆者が新聞記者から聞いた生の台詞である)の場になる。維新の意にそぐわない記事を掲載した新聞社の記者もまた同じ憂き目に遭う(無論、雑誌社も同じだ)。一方で橋下市長は、そうした「公開」が不可能な一対一のインタビューにはほとんど対応しない、とも言われている(これもメディア関係者から伺った生の声だ)。
さらに、学者達が維新政策(例えば、大阪都構想)に対して疑義を呈せば、やはりツイッター、記者会見の場で非難され罵倒され、憤った「抗議」を受ける(筆者もそのターゲットにされたが、無論それは筆者だけではない)。結果、都構想に疑問を呈する学者達はおおよそ自由な批判が困難な状況にある。
そして橋下市長の部下である大阪市の職員に至っては、今や都構想の是非について一切話してはならぬという完全なる「箝口令」をしかれている。
こうした「言論封殺」とでも言うべき状況は全くもって異常だ。これが橋下市長で無く、他の自治体市長なら、その一部の振る舞いを(例えば、公選職ではない部外者を「バカ」「チンピラ」「インチキ」等と罵倒)するだけでも即辞任に繋がり得るといって過言でない。
しかし大阪市役所職員は言うに及ばずメディアも識者達も、そのおおよそが橋下氏の罵詈雑言や公党からの抗議圧力に怯えてしまい、声高な批判をしなくなっている。そしてどの様な不当な圧力行為を目にしても、「あぁ、またいつものことか」と慣れっこになってしまっている。
これは心理学の用語で言えば、まさに「学習性無力感」である。いじめやDVに晒され続ける多くの人々が陥る「何をやったって、どうにもならない」という、あの無力感だ。
(以下、本誌をご覧ください)

 

新潮45 2015年4月号